10月30日の分、2杯目。
夜、門松で下車し、取材拒否で有名な一九ラーメン粕屋店へ訪麺。
元々、一九ラーメンは福岡市内に店舗展開しており、大橋店や老司店
が有名。どうやら老司店が本店のようだが、正直よく分からない。
というのも、店によってかなり味にバラつきがあるからだ。
そして、特にこの粕屋店は、一九ラーメンの中でも、突然変異の
異端(天才?)児として知られている。
今回は、取材拒否で堂々と写真が撮れない状況なので、実況で解説するとしよう。
かなりの長文レポートなので、時間が無い人は気をつけよう。
<注>
実況には若干のフィクション、比喩表現が含まれていることをご理解のうえ、お読みください。
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一九ラーメングループの特徴でもある、真っ白な大暖簾が夜風にはためく。
清廉な印象のそれは、戦国武将の幟を連想させる。そこには、太い毛筆書体でくっきり
と一九ラーメンの文字が躍る。
わたしは、少し腰を屈めてその暖簾をくぐり抜けた。
年季の入ったガラス戸を横に引くと、少し引っかかりながらガタガタと異世界への
扉が開く。静かにあたりの様子を見渡しながら、少し心臓の鼓動を高め、先客の様子を
観察する。赤茶け、ところどころ塗装が剥げたカウンターのみの店内は、全部で10席ほ
どで、半分ほど埋まっている。
先客はみな、一心に麺をすする、すする、すする。まるで、悪魔に魅入られた狂信者の
ごとく、その目はある意味、幼子のように純粋そのものだ。
カウンターの向こうには、強面の悪魔将軍が、腹を空かした猛禽類が兎を狙うかのごとく
ギラギラと目を光らせている。
もちろん、一風堂のような、爽やかないらっしゃいませの言葉は無い。
そう、ここは魔界の戦場だ。戦いの銅鑼は既に打ち鳴らされている。
わたしは、手に愛機Cyber-Shotを握り締め、激写の機会を伺いつつポジションを確保する。
同行した部員はアイコンタクトをとり、何も言わずに少し離れた席へ、無事着席。
ここで、ラーメンを注文する前の掟を教えておこう。
見落としてはならない禁忌(タブー)。
「当店は堅麺で作ります」
「替玉は有りません。大盛を頼んでください」
つまり、他の博多ラーメン店と同じく、知ったか面で、
「俺、バリカタね(´∀` )」
などと言おうものなら、即、八つ裂きの上、地獄の断頭台にかけられることを
覚悟せねばならない。もちろん、マットは硬度10のダイヤモンドだ。
さて、やっと注文だ。
「ラーメンひとつ」
これでいい。
慣れてきたら、
「ワンタンメン」「ラーメンとたまご」「ラーメンとご飯」
なども良いが、とにかく、余計なことは言わないでおく。これが肝心。
ラーメンを待つ間、じっと工程に目を凝らす。
オープンキッチンの厨房は、ラーメン作りの工程が全て丸見えだ。
まず、ポットいっぱいに入った醤油タレを、そのまま無造作に丼へ注ぎ入れる。
ドボドボドボ、ドボドボドボ。
レードルで分量を量ったりなどしない。一見、いい加減なように見えるが、その
次に入れる魔法の粉(化学調味料のこと( ・∀・))で調整するので全く問題は無い。
更に、麺を老練な手つきでぐっしゃぐっしゃとほぐし、ぐらぐら沸騰する釜へ投げ入れる。
ストライ〜ク!
すぐさま、無表情で銀色に輝くMyひしゃく(当たり前だ)でガッガッとスープをすくう。
ちなみに、職人はこのすくう時にスープに浮いた適度な脂の量を調整するらしい。
恐るべしその技巧。
さて、いよいよクライマックスだ。
沸騰する釜の中で踊り狂う麺を、じっと見つめる悪魔将軍の双眸は、カッと見開き、
麺を引き上げる刹那を狙う。平爪のザルでサッとすくいあげ、湯切り!
カンカンカンカンカンカンカンカンカン!
釜の淵に、ザルをたたきつける。何度も何度も・・・・
ラーメンが、運ばれてきた。
多めの醤油タレのせいか、そのビジュアルは茶系の豚骨醤油。そこに漂白されたような
メンマが載る。他の具はチャーシュー、ネギ。
いたってクラシックな佇まい。一切の虚飾を廃した潔いラーメンだ。
まずは、丼を抱え、スープを一口。甘い。知ってはいたが、やはり甘い。
おそらく醤油タレのせいだろうが、不思議な甘さを持ったスープだ。これが、
他の一九ラーメンとの最大の違いだろう。心なしか、以前より表面の油が少ない。
以前は、どぎついギトギトの油が丼を覆い、表面張力ギリギリで頑張っていたが、
今日はそうでもない。前回食べたのは2002年7月なので、その間に味が変わったのか、
それとも、わたしの味覚が変わったのか。
ラーメンを撮影しようと愛機に手を延ばすが、わたしの只ならぬ気配を察知したのか、
悪魔将軍は微塵の隙も見せない。ふと目が合う。まるで、全てを見透かされているようだ。
「オマエ、ナニシヨウトシテル?」
そう言われた気がした。惨めな敗北・・・。だめだ、今日はあきらめよう・・・。
ラーメン1杯分、450円を受け取るとき、心なしか、彼の口元がニッと歪んだような気がした。
入るときと同じ戸を開け、現実世界へ引き戻される。同行部員も無事生還できたようだ。
店を出て十分に離れたあと、魔の宮殿を写真に収める。
そのあと、鬼の猛ダッシュで車へ戻ったのは言うまでもない。次回こそは・・・
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点数:4.0点
【糟屋郡】【豚骨】
変わったことといえばラーメンが500円になったようです。
自分は何の断りも無く携帯で写真撮っちゃいました。記事にされるときはやはりデジカメで撮影されているのでしょうか?
だったらこの店だと緊張しますよね(笑
Gの記事をリンクして頂きありがとうございます。
わたしはいつ何時もデジカメです。