昔ながらの中華そばを、より発展した形で再構築する。ラーメン界では「ネオクラシック」とかいう呼ばれ方をしてましたっけ。
すでに定番となっているものをさらに最適化していく「リデザイン」という考え方は既に様々な業界で浸透しているわけでして、決してラーメンに特化した手法ではありません。
ラーメン業界はそういう世の中の流れに敏感に反応しているのか、それとも、単なる偶然なのか・・?
まあ、難しいことは置いといて、単純に美味しいラーメンが増えることはよいこと。誰も困りません!
そういうわけで、リデザインされた中華そばを2つ、リデザイン前の中華そばを1つご紹介。
-----訪麺店寸評-----
下町中華そば すずめ食堂(中華そば 700円)4.4点<曳舟>
「10年前、何十時間もかけて試作したらーめんより、業務用の方がおいしくて悔し泣きした」
〜店内に貼られていた「ゆいがグループ」のポスターより〜
一見、素朴な魚介系醤油ラーメンのように見えますが、油分を加えて、チャーシューは炙りありとなしを1枚ずつ、麺はもっちり感をもたせて量多め、
塩昆布みたいな塩辛さのメンマと、各所に尖りを持たせて全体がパワーアップする設計となっています。
長野のみならず東京でもその名を知られるようになった「ゆいがグループ」ですから、もう悔し泣きすることは無いとは思いますが・・・
業務用もこの10年で相当進化しているはずなので、もしかして、感激して泣いてしまったりして!?
中華そば しながわ(味玉中華そば 750円)4.5点(味玉煮干そば 750円)4.1点<池袋>
元ゼットンのバッソドリルマンが繰り出すセカンドブランドのしながわ
あなたは上のセリフを一回聞いただけで全て理解できますか!?
一般人正解率はおそらく一桁台、更にラヲタであってもこの中に3つの店名が入っていると認識できる人がどれくらいいるのか・・・?
という邪推は、開店前には10人以上の行列、しかもラヲタと思しき人は見当たらないという事実を目の当たりにして吹っ飛ぶわけです。
「中華そば」は、醤油感が強く、しかし、旨味十分の分厚い仕様で、スープの水面には香り油か?それでも、くどさは皆無。
そして、つるもちタイプの麺は、量はあってもするするいける、次々にすすりたくなる良質なもの。チャーシュー2種類と尖りも十分。
それにしても感心したのは、リデザインの結果、ガッツリ設計が施されていること。自家製麺で並盛180G、同価格の中盛が250Gと、並みで大盛レベルと言える量、
昔なんか知らない近くの立教大学生も支持するに違いない如才なさではありませんか!
※煮干そばの方は燕三条背脂煮干しタイプなので、あえて食べなくてもいいような気はしましたが、美味いことは美味いです
香湯ラーメン ちょろり 恵比寿店(ラーメン 600円)3.8点<恵比寿>
ラーメンに詳しい人は、チャーハンにも割と詳しい
急に「チャーハン食べたい食べたい」とごねる人がいて、しかも土曜の夜とかだったらどうするか?そうか「ちょろり」がいい!俺も未食だし・・・
クラシック東京代表に名を連ねそうな渋谷の喜楽に縁があるというこの店、もちろんラーメンはクラシック仕様であります。
揚げネギ、やや醤油先行で単調なスープ。うむ、大森の喜楽もこんなだったな。
「すずめ食堂」や「しながわ」が4Kテレビデジタル放送なら、こちらはカラーテレビのアナログ放送。しかし、4Kデジタルの良さが分かるのは昔を知っているからこそ。
これから生まれる赤ちゃんは、デジタル放送の有難味は分かりませんが、ネオクラシックの有難味は分かるのです。なぜなら、昔の中華そばはずっと残っていくだろうから。
さて、実はメインのチャーハンですが、米粒パラパラ、塩コショウ、具も普通、量多し。
チャーハン食べたい!と駄々をこねる人をきっちり満足させられる質と量であります。
あと、ラーメンもチャーハンも出てくるのが異常に早いのは、ネオクラシックも見習うべきところでしょう。
-----今号のおすすめショット-----
「すずめ食堂」の「中華そば」、東京オリンピックの頃には、この味が業務用で再現できてしまったりして・・(笑)
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