日本全体が一丸となって年の瀬へ突入する12月、街を歩けば聞こえてくる「おつかれ麺です」のご挨拶。
ラーメン食べ歩きに余念の無いオゴポコも、例外なく、訪麺宿題店の整理に追われているようだ。
そんなある日、ふと彼の頭に浮かんだあるラーメン店。その店の名は、
博多トンコツの源流たる店「博龍軒」
「赤のれん」と並ぶ博多トンコツの元祖「博龍軒」
そう言えば、福岡人のくせに食べてない「博龍軒」
1回は食べておかないとマニア失格「博龍軒」
という理由(わけ)で、じーの副部長と共に訪麺するオゴポコは思い切りアクセルを踏みしめた。
その店は、うらぶれた商店街の、そのまたひとつ裏道に面してあって、あたりは日曜だからか、
シャッターが降りた店ばかりであった。
開店しているといっても知らない人なら必ず見過ごすに違いないささやかな営業である。
しかし、遠めからでも分かる真っ赤な暖簾に、大きく力強く描かれた屋号は、間違いなく「博龍軒」である。
オゴポコとじーのは、その店の歴史と相反したオーラの無さに、少なからず動揺したのであったが、
ガラスのはまったドアをガラガラと横に引いて入ると、店内は薄暗い。
テカテカと光るカウンターに、座して注文する「ラーメン2つ」、それを静かに受けて作る女将さんの手捌きは、
もちろん平ザルでちゃっちゃっと小気味よく音を響かせているのだった。
「博龍軒」では客を長く待たせるということはない。待つことほんの2、3分で茹で上がる細平打ち麺は、
よく見かける博多の白濁とは異なる灰色のスープに滑り込み、「どうぞ」の声と共に目の前へ運ばれるのだ。
オゴポコは、まずスープを口に含んだ。
醤油タレ強め油多めのスープは、「赤のれん節ちゃん」のそれと似た印象を彼に抱かせたが、
比べるとややあっさりめの仕上がりに思えたようだ。
次に、麺を啜る。
一般的な「博多ラーメン」とは様相が異なる平たい麺は、比較すると「赤のれん節ちゃん」より扁平麺である。
その丼の文様も相まって、どこかしらチープな趣きを漂わせる元祖トンコツラーメン。
平成になってもう18年が過ぎようというのに、いまだ昭和の空気が充満しているかのような店内は、
その昭和をコツコツ生き抜いてきたこのラーメンが発する湯気の蜃気楼なのかもしれない、
と思ったとか思わなかったとか。
おそらく、もう2度とくぐることはないであろう暖簾を振り返らずにオゴポコは、
新しいトンコツラーメンを求めて当て所もなく全国をさまようのだろう、来年も。
しかし、もう少しだけ、トンコツが生まれたこの地を食べ歩くのもよいかもしれない。
歴史を食べるという意味において。
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博龍軒
住所:福岡市東区馬出2-5-23
時間:11:00〜18:00
休み:月
HP:http://www.hakuryuuken.com/
点数:3.8点
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既に訪麺済みだったのには恐れ入ります。
平打ち麺の食感は即席麺のそれに似た感じで、近いところではチキンラーメンを彷彿とさせます。
味はややカンスイ臭く、食後はやたらとノドが渇きました。
5点中、2.1点といったところでしょうか。